劇団AUN 第23回公演 『桜散ラズ…』 初日お伺いしてきました

相変わらずタイトルに全部書いちゃってここになに書けばいいかわからなくなる系のいきもの、しずこ ( @cigarillolover ) です!!

6/22(水)~7/3(日)まで上演されまして、すでに土日のチケットは売り切れですが平日はまだまだお席があるとのこと。ネットで買える前売り券は「上演当日の0時まで・現地支払い」で予約できますよ!! べんり!!

 

 

市村直孝さん作の、「日本人と戦争シリーズ」第三弾になります。相変わらず、「過去と未来と複数の視点を行ったり来たりしながら」「否も応もなく、戦争というものに巻き込まれた市井の人々」の、「こっからここまでを切り取ってくる」御本でした。

今回の「行ったり来たり」役は、松本こうせいさんの演ずる和田健一さん。前作『黒鐵さんの方位磁石』のときとは少し体裁が異なり、舞台上では「ケン坊」としてその和田健一さんの若いころが別途存在しまして、こちらは山田隼平さんです。

この現在の和田健一さんはアルコール依存症で、一応無料の自助グループに顔を出してはいるものの、まったく断酒のできていない状態なのですが、さて、そんな彼の過去にはなにがあったのか……そしてそんな彼の未来はどうなっていくのか……。

ちなみにこの和田健一さんの、父方の祖父が吉田鋼太郎さん演じる和田鶴松さん。そして母方の祖父が大塚明夫さん演じる栗山安成さんです。なにこのぜいたくな家系!!

 

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役者さんを役柄のイメージで固定するわけでは決してないのですが、それでも自分の中で松本こうせいさんの印象が『有馬の家のじごろう』の時の生真面目そうな2代目さんでしたので、今回のアルコール依存症で酒瓶を抱えたままの姿はそれだけでなかなかショックな感じがありましたネ。

そして、そのアルコール依存症の健一さんがでれんでれんになりながら眺めているのが、彼の生家である「和田鉄工所」の40周年。ただしこれは、「彼の中で幸福だった唯一の基点」というわけではなく、まあいろいろあって、本人は実家に対して(というか実父に対して)反抗的な状態です。

と、ここまでは舞台背景であって「ネタバレ」という部類には触れない……と思うのですが、まだまだ日程的に折り返しにもなっておりませんので、本筋について触れるのはここまでにしておきます。一応、このあたりは冒頭の10分15分の状況説明でしかないので、そういう点ではご安心ください。

 

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んで、わたし、これTwitterの方では先に触れたのですが、ここのね!!! 和田鉄工所のシーンね!! すごい好きなんですよね!!

この鉄工所は家族経営で、第2次世界大戦に整備兵として出兵し、その後復員した和田鶴松さんの興した工場なのですが、息子の正治さん(北島善紀さん)、広嗣さん(谷田歩さん)の他にベテラン工員の鈴木源三さん(岩倉弘樹さん)、そしてもうひとり笹川良介さん(谷畑聡さん)が社員として働いているのです。

で、ここがすごく巧みだなあと思ったのは、「40周年」というシチュエーションにあわせて、会話や態度の中で自然に「和田鉄工所」の中の様子を見せてくれることなんですね。

特に谷畑聡さん演ずる笹川良介さんは、人の顔を覗き込みながらダブルピースでイエーイイエーイってやるようなお調子者っぽい感じの人なんですけど、その良介さんに対する反応が「いい年してこいつは」ってんじゃなくて、「若いのはこれだから(笑)」っていう感じがあるんですよ。

でも、別に良介さんは若いわけでもないし、本人も「若手」って言われて明るく否定してる。じゃあこれがなにかって言うと、「あ、良介さんはずいぶん若い頃からこの鉄工所でお世話になってて、そんでまわりの印象が、まだその “良介は若いな” ってののままなんだね」っていうのを感じるわけです。

 

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んでもって、そのお調子者っぽい良介さんも、社長の鶴松さんがコメントしますよって時になったら、額に巻いてる手ぬぐい? バンダナ? をするっと外して社長に向き合うわけです。

わたしここでむやみに感激してしまって。

「目上の方がご挨拶されるのだから、帽子の類は外す」っていうマナーが残っている時代だなあ、そしてそれが自然に身についている良介さんすごくいいなと思いますし。そういった点も含めて、「ずっとかわいがられて成長したんだろうな」っていうのが察せられるポジションなのがまた、すごくいいんですよね。

このへんが大仰ではなく、説明っぽくもなく、「いや40周年めでたいねめでたいね」っていう雰囲気でみんなでわちゃわちゃしているシーンの中で補完されてる。こういうところがほんと素晴らしいなと思います。

 

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あと、『有馬の家のじごろう』のときも思いましたが、「水」をそのまま使ってくださるのほんと好きです。

もちろん舞台は舞台ですから、「そこにはないものをあるように振る舞う」っていうのも技術だと知ってはいますけれど。じごろうのときの、シンとした空間に聞こえるお酒を注ぐ音……ですとか、今回の「いやーおつかれおつかれハーくたびれたー ”プシュ” アーーーーーー」っていうこの ”プシュ” がとっても大事!!

お見送りの時に聞こえたんですけど、あれはノンアルコールビールの缶をそのまま、銀色の用紙でコーティングされているらしく、要はほんとにビールを開けている時の「プシュ」なんですよね。その「プシュ」で感じる生々しさ、リアルさがぐん!! と増すので、そういうところがとっても好きです。

さらに言うと、健一さんはお酒に逃げてしまったわけですけれども、その同じ舞台・同じ世界観の中で、普通にお酒をいいものとして扱ってる。そのバランスがね、とってもいいなと思います。

しずこがのんべなだけじゃねえ? って、自分でも思います。その通りです。

 

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さてここから、具体的なネタバレというものではなくとも、劇全体に対する感想なのですが。

複数の視点の物語が交錯しつつ、過去と未来も交錯しつつ積み重ねられていく物語がいったいどうなってしまうのか……という筋立てではあるものの、個人の印象としては「別にどうにもならないお話なんだな」と思いながら見ていました。

こういうと、なんだか悪く言っているようにも聞こえるかと思いますが、決してそうではなく。

物語が最初から最後まで流れても、変化も、救いも、進展も、そこまで大げさなものはない。わかりやすく差し伸べられる救いの手もなければ、状況をがらっと変えてくれる強者も現れない。どんでん返しもなければ大団円とも言いがたい。

ただ、ある人の人生の「こっからここまで」を見せただけ。A地点からB地点へ移動しただけ。

けど、そこにはほんのりと日の当たった瞬間が確かにあり、その日の当たったところがほんのりと温かいと感じるためにはそこまでの過去が必要であり、ただ日が当たったことがじゃあなんなのさ、と言えなくもないけれど、でもそれは絶対に「絶望」なんかではないっていう、たったそれだけの優しさ。

それがなんというか、日本人としてのこちらに沁みてくる御本だなあ……と思うわけですよ。

 

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さてさて、触れたいところは他にもたくさんあるのですけれども、ちょっと現時点でいつもより文字数!! ってなっていますので、一旦ここで切ろうと思います。

もうちょっと「オススメデスヨオ」って文章にしたかったですけど!! ムリだった!!

でもいつもの「こここうすればよかったのに魔神」がこういう文章を描いてるっていうところで、察していただければいいなと思います。

 

 

役者さんってそういうとこまで気にしてんじゃないんだ……

ええと、あらかじめ細かい話であることをお詫び申し上げます。それか「おまえガラスの仮面読み過ぎィ」って話かもしれませんあわせてお詫び申し上げます。しずこ ( @cigarillolover ) です!!

 

 

わたしはお芝居を見に行くようになったのが大人になってからなので、勝手に頭のなかで敷居を高くしてしまっている自覚はまあまああるのですが、それでも実際に拝見していて「あれっこれはこれで完成品なの……ここには気を使わないの……?」って思うことがちょいちょいございまして。

和装から和装の早着替えのシーンで、マジックテープが剥がされる「ベリイ」っていう音が聞こえてしまったり。

役者さんは三味線を弾く所作だけで音はBGMで流しているのに、手元が弦にあたってしまってへよんへよん雑音が入ってしまったり。

クライマックスのBGMがやたらと大きくてセリフがまっっったく聞こえずにどういう結末だったのかわからなかったりすると、そこそこ「ウーン」ってなりますよね……。

 

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それとか、演出にダンスを取り入れているお芝居で、舞台の奥から手前に次々踊りだしてきて、そのまま舞台を降り観客席の中をハケていく、という流れのものがあったんですけれど、そのときに舞台を降りたダンサーさんがドタドタ走り抜けるので、舞台上ではなく、そちらに意識が行ってしまったこともありました。

こういうの、誰も、なんとも思わないんでしょうか? こういうこと気にするのって細かすぎますか?

そりゃ、マジックテープは剥がすときに音がしますし、弾いてなくても弦にバチがあたれば音は出ますし、人間が走り抜けたら足音がしますよ、当たり前ですよ。でもそれが観客の注意力を削ぐと思ったら、極力排除しようっては思わないものなんでしょうか?

このあたり、小劇場派なので特にそう思ってしまうというのはあるとは思いますが……。

 

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別に、どこの劇団のなんていうお芝居でこういうことがあったのよ~って話をしたいわけではないのですが、ちょっと前に書いた「舞台上でのコーヒーカップの持ち方」なんかもそうです。

みんな揃って会議するようなシーンでコーヒーが配膳される。コーヒーカップの中身はまあ、現実には空です。それはいいと思います。

でも、舞台上ではそのコーヒーカップには、入れたてのコーヒーが充分に入ってるわけですよね? 実際には入っていなくたって、そうやって扱うものだと思うのですが、その場にいた全員が「指にひっかけるだけ」でカップをホールドしているのを見て、まあ勝手に抱いていた幻想はそこそこ崩れ落ちましたよね……。

みんなコーヒーこぼしながら会議してるのォ……?

 

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もちろんそんなわけないのわかってますよ、ただのイヤミですよこんなの。でもでも、わたし舞台役者さんってそういうところまで神経通ってるんだと思ってたんです、見ている人がだあれも気にしないところだって、役者さんは気にしてるんだと思ってたんです。だからこういうのを見ちゃうと、そこそこ寂しいんですよね。

ただ、劇団員さんとお話ししていた際に「唐傘小僧がきょろきょろするシーンで、目出しの穴じゃなくて唐傘の一つ目に手を当ててるのキチンとしてていいよネ」っていうお話をなんの気なしにお伝えしましたら、「そんなところまで見てるんですかッ……!!」って驚かれましたので、やっぱりわたしが細かすぎるだけなんだろうなあとは思っているんですけれどもね?

でもでもそれでも、そこまで神経通っていてほしいなあと、見に行くようになって早数年経つ今でも、そういうところまで求めてしまったり、するのです。

 

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逆に、暗転の中での作業がものすごい統制がとれていて、舞台装置の撤去や設置がとってもかっこよかったお芝居もあってですね。

該当のお芝居の感想にてまた触れさせていただくと思うのですが、そういう「本来だったらここは暗黙の了解で、見えてないってふうにするところだよ」っていうようなところにまで神経を通わせていらっしたのが、すごい素敵でですね。

舞台の上は見られてる、っていうのと、舞台の上を見せてる、っていう気持ちが両方あると、こういうところにも気が行き届くのかなあ、って勝手に思っています。

オチはない。

 

 

過去イベ発掘 グループK 『笑う警官(佐々木譲)』 於笹塚ファクトリー②

2013年6月23日(日)に行われましたグループKさんの『笑う警官(佐々木譲)』の感想、2回めです。

 

 

実は……個人の感想に実はもなにもないとは思いますが、「ウーン」と思ってしまったのは別にダンスの件だけではないのですよね。

結局、気になったのは「ぅいぶん陳腐にしちゃったなあ」ってことなんですよ。

原作では「裏捜査本部に内通者がいる」ということがわかってはいても表立ってあぶり出しはせず、あくまで行動を続けたうえで、佐伯警部補の判断で誰にどの情報を渡して……誰にはどの情報を渡していなくて……あのひとだけがこの新情報を持っていて……という小気味いいパズルみたいなものがはまってラストになだれ込んだり、

津久井巡査部長が指名手配され裏捜査本部ができてから百条委員会まで、作中にもあるように「疑いを晴らすには短いし守り抜くには長い」その一夜をどう使うかっていうそこも小気味いいところであって、そういうところが一番の魅力のような感じがするんだけどなあ……。

そういうのがエッセンスだけになってしまって、裏捜査本部にラスボスが登場しちゃったり、自白っていうよりただの勢いで言っちゃっただけな感じだったり、津久井巡査部長の隠し場所がすごく安易だったり……原作ではそれもかなりの争点になっていたのに、今回舞台では「裏捜査本部にかくまってました! エヘヘ♡」ですからね……裏捜査本部に協力した婦警の弟の家が機動隊に囲まれても放置だったり……。

 

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なんというか「テレビドラマみたい」な感じでわかりやすくした結果重みや味わいがまったくなくなってしまって、派手さと単純さが表に出て正直かなり陳腐になったなと。それならこの作品でやる必要がそもそもないんじゃないのかなーとね。どうしても思ってしまいますよね。

原作を知っている方としては「よさがなくなった」って思いますよ。ひとつひとつつきつめていく緊張感がまるでなかった。そして随所にはさまる、笑わせようとしてくるところがだいたい寒かったですよね。タンバリンとか。

あとはホント細かいのですが、役者さんのの声が小さくて何を言ってるのかわからなかったり、かと思ったら空想世界での金切り声が大きすぎたり、しずかなシーンで板張りの軋む音がすごかったり、足音が乱暴だったり、コーヒーがなみなみとついであるはずのカップを全員指に引っ掛けて適当に持っているので「みんなコーヒーこぼしながら会議してるってこと?」って思ってしまったりちょこちょこ雑だなあ……と感じた次第なわけです。

とはいえラストはきれいにまとまっていますし、原作からいろいろと変えてくださった関係で原作を知っていても「どうなるのかな~」って思いながら見ることができましたので、絶対ダメ! とかそういうことを言うつもりではないのですけれど……。ただ手放しでは褒められないなあと思うだけで……。

 

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あとはですね。この作品、原作においても舞台においても自分が気に障ってしまうのが「SMの扱い方」なんですよね。これは <楽しめないのは自分が悪いシリーズ> で間違いないんですけど、「SMのSはサービスのSですよねェMはワガママだなァ」って思ってる系人間としては、劇中で描かれたような攻めはイジメであってプレイじゃないわいなあ……下種ですわいなあ……って気になってしまうのもあり。

同意のうえでSMプレイに励んでいるというのにそれを脅しに使ったりするのも胸糞ですなあと思ってしまうのもありで、ヘンなSW入ってしまったことは正直に認めたいと思います。この作品、別にSMをメインにした作品じゃないからそこにそんな注目しなくてもいいんだからね!!

ただ、それと同時に原作からしてなんでこの関係にSMを持ち込んだ? って思うわけですよ。別にいらないんですよSM要素。

もともと東京のエリートが地方で羽目を外したら相手の女が思いのほか調子に乗ってしまってなかなか手がきれなかった、だけでこの話は充分に成立するんですよねえ。「SM」というものを客寄せというか、賑やかしというか、なんというか見世物のように、週刊誌のアオリのように使っているのが個人的にはとってもイヤですね……。別にその描写が優れているわけでもなんでもないですし……。

 

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その他勉強になったのは地図はもう少し調べてから出かけること……ではなく(それもですが)、ああここまで省いても成立するなってところですね。上記のSMもそうですが、それ以外にも原作では「かさまし」なところが多々ありまして。別に「かさまし」が単純に悪いというわけでもないのですが、謎が深まるというより「わかってみたらこれ関係ねえじゃねえか」みたいなところで話が妙にごちゃついた印象が強いので、スリムにするとこうなるのか~、っていうのがすごく浮いて出たなー、よくも悪くも。

まあいろいろ言いましたが、『笑う警官』の本質は「(こんな扱いを受けても)それぞれが警官として今後どう生きていくのか、そのために今なにを選択したのか」というところまでを含んだ「生き様」の話だと思いますので、そこをしっかり追うのではなく佐伯警部補のトラウマ退治になってしまったのがかなりもったいないかな、と思います。

舞台でやるのは難しいシーンは多々ありますが、硬派ないいところを濃縮してピースをはめていってくれれば上演時間1時間50分なら書けると思っていたので……まあ……そこそこガッカリでした。

ただ、こちらの「グループK」さまのお芝居、まったくの別日に拝見させていただきましたらものすごく面白くて鼻水出るまで泣いたので、そういう点も含めて芝居っておもしろいもんだなあ~というふうには感じております。

そっちについてもいつか書けたらいいなと思いつつ、今回はこのへんで。

 

 

 

 

 

過去イベ発掘 グループK 『笑う警官(佐々木譲)』 於笹塚ファクトリー①

2013年6月23日(日)に行われましたグループKさんの『笑う警官(佐々木譲)』にお伺いしておりましたヨーしずこ ( @cigarillolover ) です!!

場所をご存知の方には「……どうやって間違ったの?」って思われちゃいそうですが、ちょっと道を1本超えてわけがわからなくなってしまい、交番で尋ねたところ「あの白い建物曲がったらすぐですよ」って言われて指示す先を見てみたら一面の白い建物でどうしたものやらってなりました。やばお。

知り合いのお姉さんは同じような状況で「ファミリーマートを左折してください」って言われて言ってみたら対角線上にファミリーマートが2店舗あってどうしたものかと思ったそうです。つらお。

 

 

わたしは出演者さんで見に行くお芝居を選ぶため、事前に劇団の特色なんかはまったく調べないのですが、それが裏目に出てしまったなー……という……。早々に「あ、自分は多分ダメだなこれは」と思って、はたしてその通りになってしまいました……。

原作の『笑う警官』は改題前『うたう警官』でして、こっちのほうが内容に沿っているしちょっと不気味な感じもあって好きなんですけど……。

道警の婦人警官が殺害されたが、ろくな捜査もないままに恋人であった津久井巡査部長が犯人とされ、しかも津久井巡査部長の逮捕には発砲許可まで出されている状況に、津久井巡査部長をよく知る佐伯警部補は疑問を覚える。

津久井巡査部長は明朝、道警の裏金作りマニュアルの真偽について百条委員会で証言することが決まっており、どうやら彼は口封じのために「道警から」狙われているようであった。

署内で秘密裏に協力者を集い、近くのジャズバーを裏捜査本部として行動を開始するが、明朝までの24時間、警察組織を相手に津久井巡査部長を守りぬくには長く、婦人警官殺しの真犯人を挙げるには短すぎる時間を過ごすことになる。

どうやら集った仲間の中に内通者もいるようだが……??

的な内容になっております。

 

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なお、この話は単に「謎を解いて真犯人を挙げること」や「津久井巡査部長を守り切る」というだけの話ではなく、警察組織を守るためには組織的な殺人も辞さない道警から津久井巡査部長を守って正義を貫くとして、その後の自分の警官人生はどうなってしまうのかという点で信念の話であるし、同時に「うたう」のかどうかつまり「仲間を売る」のかどうかというところでも信念を問われることになってるわけです。

腐った道警にメスを入れるために警官として「うたう」津久井巡査部長を許せるのか、それとも(それが善悪で言ったら善だとわかっていても)警官同士の絆として仲間は決して売らないのか……津久井巡査部長を守ってキャリアが閉ざされることになってもいいのか……かといって無実の津久井巡査部長を見殺しにできるのか……???

といったまあ大変骨太な小説なんですよね。こういう内容ですから、やっぱり原題の「うたう警官」のままがよかったなー!!

まあ原作は原作でちょっと詰めが甘いなと思うところもあるのですが、この「警官として」というテーマが根強く流れているうえに、アームチェア・ディテクティブ的に基本「裏捜査本部」とされるジャズバーの中で話しは進んでいく、そこが面白いわけですよ。もちろん協力者の若いのは足を使ったりもしますが、それで得てきた情報をどう処理してどう判断してどう津久井巡査部長を救うために活かせるのかっていうのは、やはり佐伯警部補のアタマにかかっているわけで、基本的には静かでじわじわと迫ってくるお話なわけです。

舞台をバーに固定できる分、演劇にはしやすいでしょうし、さてどのように料理してくださるのかしらー、という期待はすごくあったのだですが……ちょっと思いがけない料理が出てきて「ウーン……」ってなってしまいまして……。

 

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原作が比較的硬派でガッツリした警察小説だったというのに、いきなり創作ダンスが始まってしまったところで「ううん……」と。

物語の舞台として、「道警の中で無実の罪を着せられた警官が短銃自殺をしたが事実が明かされることはなく、内部の癒着が公表されることを恐れた上部が無茶な人事をしてキャリアも考えずにポジション振り直され、全員警官としての信念が揺らいでいたところに起きた事件」だからこそ意味があるように思うのですが、開始早々「孤独なジョージが死んだとさ」とか言いながらダンスを踊られても……。

あ、まあわたし「ダンス」を表現に取り入れている舞台にはいきなり点が辛くなるというか、踊り始めた時点でスッと冷めてしまいがちなので没入度が浅いところがあるっていうのはわかってます……。でも今回は、ダンスがあったからというだけでもないんですよね。

津久井巡査部長とおとり捜査をした時の過酷な経験によりPTSDとなった佐伯警部補(※この設定は原作通り)がナルコレプシーを患い(※この設定はアレンジ)、睡眠に落ちてしまったときに見る夢が乙女のダンスなわけですが、このへんの幻想的な感じが個人的に佐々木譲作品にはあわないのではないか、と……。

すごく細かいことを言ってしまうのですが、この場面転換で音が大きくなりすぎるんですよね……くぐもった声の役者さんのセリフが6列で聞こえないことすらあるのに、佐伯警部補が寝ると音がバーン!! バーン!! 着飾ったおねえさんが出てきて「孤独なジョージが死んだとさ」だとか「心に巣食うケルベロスが」とか言われるのが、いろんな点でほんっと自分にはまったく合いませんでした。

あともっと細かいことを言ってしまうと、全てが終わったらナルコレプシーが快癒したりとか……そんな簡単なものじゃないよねーとかも……。いや「演出のために病気を使うなんて不謹慎だ」っていう話をしたいわけでもないんですが。でも快癒してしまった時点で「ああはいはい演出の都合ね」ってなってしまうんですよね。意地悪すぎるかしら。

この夢から回想に入ったりっていうところは刺激的でとてもよかったので、演出単体として見たら巧みだったとは思のですけど……『笑う警官』かって言われると、ちょっとな。

 

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尺の都合などにより、登場人物が減ることはあるだろうと思っていましたが、むしろ役割分担のために増やしたりしてるのは面白かったですね。バーのマスターをママにしたのも、大人の色気や味が出てよかったです。

ただSM嬢とオカマの投入はどうだったんでしょう……?

そういう「キャラクター」を増やしたことで華やかさが出たといえば出たのですが、個人的には騒がしくなってしまったかなーと。ええと……いきなりSM嬢という単語を出してしまいましたが、ここを解説するためにはもうちょっとネタバレしないとだめですわネ。

冒頭のあらすじにあった「殺された道警の婦人警官」は、元ミス道警でとても注目されていた女性なんですね。そして、「道警の不祥事を受けて警察庁から送り込まれた、キャリア完了の妻を持つ石岡警視長」の愛人だったわけです。

結局、この婦人警官が殺されたのは「痴情のもつれ」なわけですが、そこまでいってしまったのは「婦人警官と石岡警視長の肉体関係が、SM関係であり、別れを切り出された婦人警官側がそれをたてに脅そうとした」というのが原因だったりするわけです。

と、いうわけで「婦人警官側の関係者」として、「あの子が殺されちゃうなんて」となげくSM譲と、その嬢とともに現れる、ママの知り合いのオカマさんという、原作にまったく登場芯あいキャラが追加されていました。

この二人に関しては「舞台は別物!」と完全に割り切れる範疇だったのですが、でもまあこの話を掘り下げるとしても掘り下げる対象はこの婦人警官でもなければSM関係でもねえだろうっては思うんですよね……。

ちなみにこのオカマ役の方が異様にうまかったですね……お見送りの時に普通にお話しているのを拝見して「エッ」って思ってしまう勢いで、舞台上でのオカマさん役が胴に入っておりました。すごい。

 

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で、これ1回のエントリでぜんぶ触れようと思っていたのに、ここまでで普段より1.5倍くらいのテキストなのでやっぱり分けますねェ。そう間をおかずに更新すると思います。

 

 

 

 

 

過去イベ発掘 ロウドクノチカラ 伊坂幸太郎 魔王 於ラゾーナ川崎プラザソル ②

引き続きロウドクノチカラさんの『伊坂幸太郎 魔王』於ラゾーナ川崎プラザソル、2014年5月31日(土)昼の回の感想ですヨー!! 相変わらずこの日の自分が羨ましい気分が抜けないしずこ ( @cigarillolover ) です!!

しかし手帳をもう1度無くしたいわけではない。決してそっちではない。

 

 

さてさてこちらの「ロウドクノチカラ」さん、一般的な朗読劇のスタイルではなく「ドラマティックリーディング」をウリとしております。生演奏付きの演出、声の演者とは別に画面後部に登場するシルエットとしての役者、そして壁面に映し出されるイメージ映像の数々……。

というわけで、お膳立てたっぷりの豪華なつくりなのですが、ごめんなさい個人的には「朗読劇」としてこれは求めてないなあ……っていう感じでした……。

以前も「どの朗読劇」っていうのじゃなくて、「朗読劇そのもの」について触れたことがあるのですが、普通に読書体験を楽しめる下地があれば、一切ビジュアルがなくても音楽がなくても勝手に一体化して楽しめるものだ……と思っているので……。

最初、そういう楽しみを求めたままだったのでちょっと面食らいましたがおそらく劇団からしてみれば「ウチの演劇見に来てなにそこに面食らってんの?」っていう話だと思いますネ。いやあ「誰が出るか」が判明したらそのままチケット買って、事前情報はまったく追わないし劇団についても調べないタイプの観客なんですスミマセン……。

 

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まあ、個人的な好みではなかったというだけで、「あ、こういう感じなんだ」と思ったあとはそのまま楽しませていただきました。「朗読劇はきらいじゃないけど単調に感じてしまう」とか「ビジュアルがあったほうが……」という方にとってはこれ以上なく楽しめる形の演出ではないかな、と思います。

基本的に、壁に投影される映像は淡々としたイメージ映像なのですが、そのぶんそれに色がついていたりするとビックリするくらい印象的になり、ハッとさせられるところも多々ありました。

ただ……うん……もっといいたいことがあったはずなんだけど……じわじわと「このスタイルは自分にはあわなかったなあ」っていう気持ちが膨らんできちゃって、その他のことが押し出されていく……。

お声の演者さんは舞台の前方左右にあるマイクの前で演技をし、舞台の奥中心にはシルエットとしての登場人物がいて……要所要所では背景に変わるイメージ映像が印象的に使われていて……どうにも……こう、それらが「過保護」に感じてしまうんですよ……。

「ここでこういうふうにかんじてね!! ここでこういうふうにうけとってね!!」っていうのがわかりやすすぎて、それ以上の個人的な体験が降ってこない。それって結構もったいないことなんじゃないかなあ……。

 

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もちろん、組み立てられたお話をお芝居でさらに組み立てているものですし、演者さんがいて演出があって……ってなったら「意図がある」のは当たり前なんですけれども、バラエティの字幕のような……あとから言葉にするとそんなお仕着せ感が自分には感じられてしまった……。

実際の観劇中はここまではっきり言葉として思ったわけではありませんが、その時の気持を改めて言葉にするとこういう感じかな、と思います。

あとは、生演奏の生音に関してもちょっと多用し過ぎかな? とうるさく感じたり、印象が逆に薄れてしまったところもあったので、いろいろな技術やセンスがあるぶん、こちらが手を差し込む隙がない仕上がりになってしまったのはちょっともったいないなあ……。

勝手なことを言っている自覚はあるのですが、この演出方法の一部でも手放すか、もう少し頻度を下げるかしてつくられた舞台を拝見してみたい気がします。

 

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CAST

犬養 大塚明夫(声の出演)
安藤 西村知泰
潤也 佐々木大介
詩織 橋本真実
蜜代 能世あんな
満智子 阿依あい
語り 松井みどり 津田匠子 伊藤彩
近藤大介
北村真一郎
四方健登

MUSIC

パーカッション 松岡健
ベース 河野誠志
唄 Moe
ピアノ しんき

 

 

 

 

 

過去イベ発掘 ロウドクノチカラ 伊坂幸太郎 魔王 於ラゾーナ川崎プラザソル ①

ウオオオ大塚明夫さんの有効活用スンゲエヨオオってなりました、ロウドクノチカラさんの『伊坂幸太郎 魔王』於ラゾーナ川崎プラザソル、2014年5月31日(土)昼の回にお伺いしていましたヨーしずこ ( @cigarillolover ) です!!

ちなみにこの日、同日に新宿のシアターモリエールで『或る人斬り』の夜の部も見に行ってですね……すごい充実した一日……だったのですが、ドタバタしてたらネタ帳というかなんでも書き込んでいる手帳をなくして川崎→新宿→川崎で慌ただしくしたうえに、AUNのチケットが速攻売り切れて泣きそうになる(※後日無事入手)っていうすごい波乱万丈な一日でしたヨ……。

それにしてもすごい演劇漬けだなー過去の自分のことなのにうらやましいわ……。

 

 

とっても大雑把に『魔王』のあらすじを紹介しますと、

物事を深く考えること以外はごく一般的な社会人・安藤は、「同じ空間にいる他人に自分が思う通りの言葉を喋らせることができる能力」が自分に身についていることに気づく。

その安藤は考察の末、時の人であり次期内閣総理大臣とも噂される、若い政治家・未来党党首の犬飼がファシストではないかと考え至る。

どうにかして犬飼の躍進を止めたい安藤は、街頭演説中の犬養へ近づいていくのだか……。

というような感じなんですネ。政治 VS 1国民!! 戦い方は異色ではありますが、思想と思想の戦いでもあるわけです。

 

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そしてこの作品、「他人に思った通りのことを喋らせる能力」の現実味は案外どうでもいいんです。

むしろ大事なのが犬養。政治家としては若すぎるとも言えるわずか39歳の、野党の党首でありながら、若い人間を政治に巻き込むほどの求心力があり、実際にこのあとの作品では総理大臣になっていたわけです。

その犬養がウソでは、「犬養に国を舵取りさせてはならない」という安藤の感じる危機感がまたウソになってしまうわけです。

で、ここまで書いてお気づきでしょうが、この「ロウドクノチカラ」さんでは、犬養役に大塚明夫さんをあててこられました。わっかってるゥ~!! わかってらっしゃる!! コノコノォ~!! って、しずこがクッソウザくなるレベルで「わかってらっしゃる!!!!!」

犬養は憲法九条の改正にも意欲的で、それに絡んだ発言も多々あるわけですが、それでも「この男ならやってしまいそうだ」っていう感じ、そしてそこに横たわるただならぬ野心……を押し殺しているようなそうでないようなアブラの乗った男……が今まさに、舵をとらんとしている……国民はその男に飲まれて、流されていく……ひょっとしたら、取り返しの付かないことになるかもしれないのに……?

というそこの犬養が、大塚さんなわけだ!! ハーコリャスゲエわ……!!

 

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で、『魔王』という作品の紹介から入った関係で、もう結構文字数!! ってなっちゃってるわけですね。

この日の公演では、元の作品と同じく、安藤が主役の「魔王」と安藤の弟が主役の「呼吸」が演じられました。この公演そのものの感想もそこそこ文字数!! ってなる感じですので、このまま『魔王』そのものの話をさせていただきますと、まあ「この世界は結局どうなったの?」っていうことに関しては、このあとの長編小説である『モダンタイムス』を読まないとわからない模様……。

ウウム……。

 

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ちなみにネタバレだからどうしようかと思ったんですが敢えて書きますと、安藤(兄)はこの戦いにあっけなく敗れます。しかし最後の最後に、ほんの一矢だけ犬養に報いることができたわけです。彼の能力を使って犬養にあらぬことを……。

と、いうわけで、大塚明夫さんのお声で

「巨乳、だいすきー!!」

が聞けたわけでですね、セリフのわりに笑えるシーンでもなんでもないので、すっごい真面目にすっごいいい声の「巨乳、だいすきー!!」なわけで、いやあいい経験をしました……いやいい経験ってんなら大塚さんの声による宮沢賢治の朗読とかそっちに触れようぜって我ながら思うんだけど……!!

 

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ちなみにこの作品での大塚さんは、声のみ出演ということで、犬養にはいっさいビジュアルがつくことがなく、それが安藤だけが感じている恐怖感をこちらも味わうことの後押しになっているような感じがありましたね。

朗読劇なので、他のキャストの方もビジュアルメインでは出て来らないわけですが、それでも結果的に演出の一部として成立していたように思えます。

舞台そのものの感想については、また後日で。

 

 

 

 

 

劇団は当日の入場についてもう少し取り仕切ってほしいなと思うなど

見たいお芝居があるならさっさと予約してチケットキープすればいいじゃない? って自分でも思ってるんですけど、1回1回の金額がそれなりに大きいから、行きたいもの全部取るわけにもいかないんですよネ……? って白目むいてますしずこ ( @cigarillolover ) です。

ていうか、ディズニーランドのワンデーパスポートのほうが安いことすらあるじゃんって今気づいた……ウッソだあ……ディズニーランド行こ……!!

 

 

で、なにが言いたいのかというと、当日券で並んだりいろいろするときに不便を感じることがそこそこあるなあ~ってことです。

たとえば、当日券ありますという周知があったので行ってみたら、ロビーでお待ち下さいと言われ、待っていたらいつの間にか当日券の販売も入場も始まっていてなにがどうなったんじゃい、とか。

開始前にあきらかにスタッフがそこにいるけれど、なんのアナウンスもないので観客が自発的に列を作って並んでいたら、チケットの番号順に並んでくださいで改めて大移動したり、とか。

チケットを持っている人は直進してよくて、もっていない人はこっちの列で、あと、発券してない人もこっちの列で、云々、でアナウンスが間に合っておらず、ウロウロする人続出でお客さんがアナウンスを始め、スタッフみたいになってる、とか。

なんかなんか対応が後手後手で、結構見る前から疲れちゃうんだよネ、っていうことが、そこそこの確率で発生するなあ、と思うわけです。

 

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いや、わかってはいますよ、劇団は「演劇」が主体で、イベント開催や運営がメインでないのはわかってます。

でも、わかっているからこそ、当日ごちゃごちゃさせていたらそれこそ面倒なことになったりしませんか、っても思うんですよ。

だからこそ、広報blogなりなんなりで、「当日はこういう流れになりますよ」っていうのを情報流しておいてくれれば、ある程度観客の方でも動けるんですけどどうですかって話なんです。

 

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結構こういう「現場に行ってみないとわからないし、行ってみてもわからないし」みたいな感じを受けて、無言のまま遠ざかっちゃう人とかいるんじゃないのかしら……っていう風にも思います。

劇団の都合でいいんです、劇場の都合でいいんです、あなたたちのやりやすいやり方を指示してくれてもちろんいいんです。

従いますから、だからそれを事前に教えておいてもらえないかなって。

見にいくようになってまだ数年ですけど、何度も何度もそう思っているので、ちょっとご一考いただけないかなって、それなりに切実に、思っています。当日券に限った話じゃなかったね。

 

 

 

 

 

ハマコクラブキヨコクラブ満15周年記念第16回公演『オチの後で』アフタートーク

ハマコクラブキヨコクラブ満15周年記念第16回公演『オチの後で ~変な人ほどせつないなんて~』於シアター風姿花伝の千秋楽、アフタートークのレポートです!!

自分の手元のメモとたよりない記憶による書き起こしですので、発言はこのとおりというわけではなく、また記憶違いなどもあるかと思われますので、「ああだいたいこんなことをお話されたんだな」という雰囲気の確認程度に50歳記憶力限界説の天丼をお楽しみください。

※語順、語尾、語彙などは再現しきれず、実際にお話しされたのと異なる部分が多々あります。

※ハマキヨさんはテンポよくポンポン! と話してくださるので、このお二人の発言がくっついたり入れ替わったりしている可能性もあります……。

 

 

ハマキヨさんが先に登場、ご挨拶のあと池田政之さん登場。

・出囃子ないの? 明夫ちゃん出てくるときは出囃子かけてあげてよ(池田さん)

出囃子にのって、紹介された大塚明夫さんが登場。ちなみに大塚さん、座りが悪かったのかこまめに正座→胡坐→跪座→正座と座り方を変えていらして、しずこは「ああ……足長っげぇもんな……」って思いながらガン見しておりました。くずすときはひとこと断ってからくずしてらしたよ。

・今日客席からご覧になっていてどうでしたか?(清河さん)
・泣いてしまいました。<ちょっと結末に触れるので一部割愛> 僕が出ない方が芝居がこうキュっと……(大塚さん)
・(それを否定しながら)本当は大塚さんにもオファーをかけたんですが、わずか1日のタッチの差で先約ができてしまったんですよね※1(清河さん)
・(池田さんに)大塚さんが出ていたら、どんな噺家になってましたか?(清河さん)
・それは決まってから考える!!(池田さん)

※1 大塚さんは9/24~27まで『水島裕プロデュースVOL.4「笑う朗読」~日本初!(おそらくですが)大笑いする朗読です~』に出演されておりました

 

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・もうご存知の方も多いだろうけれど、ハマキヨは毎年何か芸能に関することをテーマにしているから、落語をテーマにすることはかなり初期から話があったんだよね。でも世間が落語ブームになったり落語ドラマができたりでそれにおもねっているとは思われたくなかったから、先延ばしになっていた。7年前に「もういいかな」ってやることにしたんだよ。(池田さん)
・今回の鹿政談も宿屋の富も池田先生がやってみせてくれたんだけど、1回しかやらないから1回で覚えろって(濱田さん)
・前の日に練習したもん。俺は関西の出身なんで上方落語でやるけど、そこは東京弁で構わないからって言ってね(池田さん)
・今回に限らず、基本的には先生がぜんぶ1回やってみせてくれるんで、なんでもいちばんうまいのは先生だっていうね(大塚さん)
・記憶力もすごくて、見たお芝居のセリフなんかも1回で全部覚えちゃう。で、なんでそんな覚えてるんですかって聞いたら「だって1回見たじゃん」って(濱田さん)
・でも40すぎたらそうでもなくなったし、50過ぎたらもう全然ダメ(池田さん)
・それでか俺!!(大塚さん)
・ほんとそうよ!! 俺ガラスの仮面読んで、主人公が1回見た劇のセリフを再現してみんなが驚いても全然驚けなかったけど、50過ぎたら「さっき何見てたっけ? 誰が出てたっけ?」ってなったもん(池田さん)

 

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・明夫さんはハマキヨに3本出て※2、いちばんしんどかったのはどれでした?(清河さん)
・それはやっぱり最初の1本でしょう。みんなができあがってるところに入って行ってどうしても異物感が拭えないというか。最近になってわたしもやっと家族になれたかな~と(大塚さん)
・『ひとり芝居をみんなで』と3票差ぐらいしかなかったんだけど、もしそっちに決まってたらどうしてたの?※3(池田さん)
・そうしたらもう先輩にスミマセンッ!! てするしかなかったですかね(大塚さん)

※2 第13回公演『たそがれの映画監督(2012)』第14回公演『プロデューサー(僕)はかく語りき(2013)』第15回公演『ひとり芝居をみんなで(2014)』

※3 今回の公演は過去作の中からアンケートを取り、1位の作品を再演する形のため

・でもしんどいってハマキヨで一番しんどいのは笑いをこらえることだよね(大塚さん)
・特に飛田さん関係がしんどい(清河さん)
・特に飛田さんがすべった時が笑いをこらえるのがツライ。スベってんのかよ!! って。今回飛田さんの登場シーン※4、初日はシーンとしちゃって役者はソデで爆笑してるっていう……(濱田さん)
・あのシーン、練習中って音響さんがいないから俺が音楽いじってたんだけど、消さないでどうするか見てやれって思ってたらどうにかしちゃったよね(池田さん)

※4 CDラジカセで出囃子をかけながら登場するのだけれど、CDを止めても止めても勝手になり続ける……という演出。千秋楽ではちゃんとウケてましたよ!!

 

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・あと、ハマキヨはもらった時は台本が薄いんだけど、稽古のときに「ここはこうするから」ってどんどん書き込んでいくからそれについてくのがツライ(大塚さん)
・余所でやるときはちゃんと厚い台本だよ(池田さん)
・いやそれ見たことないから(大塚さん)
・まあ余所への台本でも、自分が演出するときはやっぱり薄い。他の人にやってもらうときはキチンとしとかないといけないけど、自分は現場でつくるって考えがあるから(池田さん)
・今回の鹿政談を教えるところとか台本なかったからね!! (会場どよめき)(濱田さん)
・15少年漂流記※5のところもなかったよね(大塚さん)
・これどうすればいいんですかねって聞かれたから「キューピーさんでも置いといたらええんと違う」って(池田さん)
・あと「第三幕 いわゆるハマキヨでやる」とか。じゃあってんでそれで膨らましてやってたら「長すぎる!!」って怒られたりして(濱田さん)
・でも一回、大衆演劇がテーマのとき※6、じゃあ口だてでやってみようかってときは三日目に自分からギブアップしたよね、これもう無理です覚えきれませんって、一応次の日までに40Pぐらいは仕上げてったけどさ(池田さん)
・50過ぎてた?(大塚さん)
・過ぎてた……(池田さん)

※5 『ひとり芝居をみんなで』の劇中劇。ひとり芝居で15少年漂流記をどう演じたというのか……は劇団DVDでご確認いただくしかないかもしれない。いや答え言ってるけど。

※6 第10回公演『闇夜に花の咲くような(2009年)』

 

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・10月にケーブルテレビで明夫さんの吹き替え特集あるんですよね。みんなもう知ってるか(清河さん)
・特集っても3本続けてやるってだけだけどね(大塚さん)
・誰のやつですか?(清河さん)
・デンゼル・ワシントンと……(大塚さん)
・スティーブン・セガール?(池田さん)
・そうだスティーブン・セガール。あと……(大塚さん)
(間)
・出ないのかよ!!(濱田さん)
・50過ぎてますから(大塚さん)
(客席から)ドルフ・ラングレンです
・そうだ! ありがとうね(大塚さん)

・あれは相手の役者によって声を変えたりしてるんですか?(清河さん)
・変えてない。変えてるつもりはないんだけど、絵を見て出した声が、結果的に脳で調整されているのかも(大塚さん)
・元の役者さんの声にあわせたりもする?(清河さん)
・合わせるときと無視するときとあるかな。スティーブン・セガールなんかあの人は結構甲高い声をしてるんだよね。でも役者の体格なり映像なりを見て、この場に合う声っていうのを出す……簡単に言えば体の大きい人はよく響く声を出した方が絵になじむっていう(大塚さん)

・これお客さんの中に声優をめざしてるかたとかいらっしゃるんじゃないですか(清河さん)
・いないよ(断定)(大塚さん)
・いますよ絶対。この機会に明夫さんになにか質問したいことがあれば……(清河さん)
(客席から)
 本読んであきらめる決心がつきましたがどうでしょうか※7
・いいと思います。まあ本当に苦労するばっかりだから。そりゃあポーンと売れる人もいますけど、売れてもみんなと同じでいられるかっていったらそんなことはなくて、じゃあ売れたら今度は飽きられるってわけですよ。もともとおあしがそんなによくない業界なのに、飽きられて本数が減るって言ったら本当に厳しくなってきますよね。そこで今度は、飽きられないようにって工夫が必要になってくる。こうやって残っていくのが本当に大変。若い時の思い出づくりにならぜひどうぞ。(大塚さん)

※7 大塚明夫著『声優魂』の帯は「声優だけは、やめておけ」

 

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・お客さんの中に作家志望の方もいらっしゃると思うんですけど先生からは……(清河さん)
・俺はそれを聞かれたら正直に答えることにしてるんだけど、「結末まで書いてください」と。以上です。役者さんでもホン書いてみたいって人はいるけど、途中にこだわって止まってしまうようだとダメ。小学生に笑われそうな内容でもてにをはや漢字間違っててもいいから、まず最後まで書いて、そこからゆっくり直していく。プロはそりゃ締切ってものがありますけど、賞に出そうとかで書いてらっしゃる方もとにかく最後まで書き上げてください。あと、結末を決めてから書き始める。北海道行こうって決めてあったらそこに向かう道筋はどうとでもできるんです。(池田さん)
・よし!!(大塚さん)
・本もう出したやん!!(池田さん)

 

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最後がどう締まったかはもうあやふやになってしまったのですが(50じゃなくても)、笑いもあり、真面目なお話もありの多分15分~くらい? なんだかさらっと重要なお話を聞かせていただいてしまった、とても濃いひとときでした。

 

 

 

 

 

ハマコクラブキヨコクラブ第16回公演 『オチの後で』~変な人ほどせつないなんて~ 感想だよ

ハマコクラブキヨコクラブさんの満15周年記念第16回公演、『オチの後で ~変な人ほどせつないなんて~』をシアター風姿花伝で拝見してまいりました!!

お伺いしたのは千秋楽の9月28日(月)、15時の回。ちょっとチケット確保に向けて動くのが遅くて、後ろの方の席ではあったのですが、客席にかなりしっかりとした段差がつけられているため、とても見やすい劇場でした。前の人の頭すら気にならなかったです。

 

 

大ざっぱに言うと「芸歴は長いけれどうだつのあがらないベテラン落語家の真打ち襲名直前に、師匠に弟子入りを許されたという脱サラしたど素人がやってきたけど、その師匠は旅行先の草津からまったく帰ってくる様子もなくて……」というお話なんですが。

いつものように(※わたしの勝手に言う「いつもの」は『たそがれの映画監督』以降)「実力がないわけじゃないのにうだつのあがらないままのベテラン」こと二百十一日亭曇天が濱田和幸さん。

脱サラ初心者の二百十一日亭朝霧が清河寛さん。

弟子入り数年・まだまだ下っ端の二百十一日亭梅雨時が根本拓人さん。

そして一番の売れっ子で、テレビや映画にも出演中の真打ち・二百十一日亭爽々が中村俊洋さん。

二百十一日亭師匠のお嬢さんが藤川恵梨さん。作中でお名前が出なかったようにも思いますが役名では小鳥遊えりさん。

そして米屋のおやじ・飛田康介さんと、人情出演のたいこ茶屋の大将・嵯峨完さん。

……こうやって書くと飛田さんも人情出演のただの米屋のおやじさんみたいになってるけどあえて訂正はしない。

 

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今回、藤川さんがポジション的にがっちりはまってましたね!! ご本人のしゃきっとした感じが、こういう演芸のおうちのお嬢さんの芯の強さみたいなものにばっちりあっていて、すごいはまり役でした。

ほかのみなさんは、上の登場人物紹介みたいなところでもふれたけれど、ある意味いつもの配役の中にほかの方はすっぽり当てはまっていて、自分の見てきた中ではいつも通りな感じ。しかしその安心感がええのじゃ……。

あと個人的に、『ひとり芝居をみんなで』のときから根本さんのあの使いどころの難しそうな個性がグンと生かされるようになったと思うのですが、今回もすごい生き生きしてたように思います。すごく適切な役柄による適切なポジショニングといった感じ!!

この、根本さんと中村さんのいい意味での異物感はずっとこのまま生かしてほしいなあ。特に中村さんのポジションがあると話が広がるし転がしやすくなるからなあ。

 

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そんで、ええと作中でハマキヨさんそれぞれの落語シーンはちゃんとあるのですが、正直正当な落語かというとちょっと違って、また別の話芸になりかかってる感じはあるんですけれども、そうはいってもその話芸そのものがウマイんですよね。

なのでそっちの面白さも加わったこの「鹿政談」と「宿屋の富」はたいへん面白く聞かせていただきました。

また、「鹿政談」は豆腐屋を裁いて「キラズにおくぞ」「マメに帰ります」というオチなんですけれども、これ「おから=きらず」っていうのを知らないとなにもひっかからないんですよね。だけど作中で素人である清河さんに教えるという名目で、すっごくさらっと「キラズはおからのことで、豆腐は切って食べるけどおからは切らないで食べるからキラズなんだぞ」って言ってるんですよ。

まあ、この説明からオチまでの間にちょっと時間が経っているのと、自分はこの噺事態をオチまで知っていたので見ているときは特に気にしていなかったんですが、あとからこれがあるのとないのとでは理解度が全然違うなと気づいて。つくりが丁寧だよなあとしみじみ思いました。

 

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あと今回いいなと思ったのが、「名前だけで実際には登場しないけれどすごくキャラのたつ人」がいることかな。そしてその存在が結構絡んでくる。しれっとセリフだけで実像のないキャラを立たせるってすごいことだなと思いました。

あああと、忘れちゃいけない飛田さんね!! 飛田さんの説明ってすごく難しいんですけど……ひとりだけ違う線路をすごい勢いで並走している蒸気機関車とでもいおうか……ウン……「和製ミスター・ビーン」と評されることが多いでしょうか。

ぜひ頭の中で、普通の芝居に「喋るミスター・ビーン」を投入してみてください。

それが現実にあるのが、飛田さんです。

マジ ヤバイ

わたしは『たそがれの映画監督(2012)』のときに常連さんと駅までご一緒させていただいたことがあって、そのときに「インディカ米」ネタがテッパンだということを教えていただいてたんですが、そのあと米屋ネタはあってもなかなかインディカ米ネタが聞けなくて……!!

勝手にくやしがっていたのですが、今回聞くことができたのでよかったです……!! でも「草津よいとこいちどはインディカ米」ってなんなの……!! 考えたら負けな気がする……!!

あと自分はもう、舞台に飛田さんが出てきただけで「グフッ」ってなる体になってた。出てくるだけでダメだった。笑った。

 

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この『オチの後で』は、ハマキヨさん15周年記念公演のため、「過去作の中からアンケートをとり、その中で1位だったものを再演する」という流れだったのですが、2008年当初はまだ参加されていなかった根本さんの役は新規でおこされております!!

そしてわたくし落語という題材が気になってですね。以前に2008年公演のDVDを入手してあるのですよ……。見比べちゃおうかな……!! 終演後、中村さんとお話させていただいてる時に流れでこの話になったのですが、「7年前ですから僕も今よりシュッとしてますよ」と仰っておりました……いや……今でもシュっとしてますやん……エエ……それじゃあ7年前はどんだけシュっとしてますの……。

ハマキヨさんのDVDは、劇場の物販で購入することができるのですが、現地で入手……ではなくその場では購入手続きのみとなっています。過去作品についても、後日、準備が整い次第の郵送ですので、いい意味でじらしプレイね!!

 

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と、ここまでこちょこちょと細かいところの感想を述べてまいりましたが、ネタバレをしないまでも全体について申し上げますと、またいい感じの「日本人による日本人のための人情噺」なんですよね……これがほんと気持ちいい。アッ以前これ言ったときにキヨさんに「なんかあの人民によるって演説のアレみたいですね!!」って言われたこと思い出した!! リンカーンのゲティスバーグ演説かよ!! ほんとだ!!

で、これまたわたしの好きな感じのどんでん返しでね、さらにクライマックスとは別のオチもポーンとついて、どんでん返しで急に泣かされて、でも最後にそうきたか!! ってオチもついて、泣いた後にもひとつアハハ!! ってしてからスッキリ終わるい~いお話でございました!!

ひょっとしたら、まあどんでん返しの部分、見ている途中で気付いちゃうかもってのはあるんですが……でもミステリじゃねえからなあ……気付いたとしても「いい話」は「いい話」なんですよ……ウン。

繰り返すけど、藤川さんの演芸のおうちのお嬢さんの芯の強さもね。これもまた、ほんとにいい感じに全体に影響していて……優しくて、それでいてキリッとサッパリしたお話に仕上がっていると思います!! 思いました!! ハリセンがだいぶ少なかったけどネ。

 

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でもやっぱりマイベストは『たそがれの映画監督』なんですが、それだけ好きな芝居があるってのもそれはとっても幸せなことだと思っているので、固執するわけでなく、今後も見続けていこうと思っております。

なお、12月の公演については、5月くらいからそのお話がちらほらあったとは思うのですが、現時点では「できればやりたいとは思っているけれども……」という状態とのことでございました。

 

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ちなみにシアター風姿花伝さん、お手洗いの個室は3つ。90~120名のキャパシティでお手洗い3つはかなり嬉しいつくり。そしてキレイでした。和式あるのかな? たまたま入った時、同じ個室にあたったので、それは確認できなかったな。

んで。

 

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ハマキヨさんのこういうとこほんと好き。

……と思ったので、あわせて紹介させていただきます!!

以上、観劇直後にTwitterに感想をあげつつ、日記を普段の倍くらい書いた後の感想でした。

 

 

 

 

 

劇団AUN 第22回公演『黒鋼さんの方位磁石』ネタバレなし感想

『黒鋼さんの方位磁石』見てきました。あのう上演期間内に感想を書かねばと思ったのって久しぶりで……書いたところでもう明日(正確には今日)の2回しかもう当日券ないんですけど!! 当日券迷っている方にアピールできるほど影響力あるなんて思ってませんけど!!

でもまだ上演期間中なので、話しの流れは書かずにできるだけ興奮を勝手にお伝えしようと思います。もし迷われている方がいらしたらぜひお伺いしていただきたい……。

ネタバレ0はむずかしいとは思いますので、ある程度はご容赦いただける方のみお進みください。

 

 

作品として描かれるのは、「わずか7日間しかなかった昭和元年(1926年12月15日~31日)に生まれた鈴木昭一(吉田鋼太郎さん)が過ごす、昭和64年の終戦記念日」です。

ですがこの鈴木昭一さん、無事蒸気機関車の機関士を勤め上げ、やっと第二の人生を……というところで痴呆症を発症しており、彼の症状を通して舞台は進行していきます。

……まずこれがスゴイ。

(痴呆症、現在は認知症と言いかえされていますが、作中時間的にはまだこの名称です。)

 

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昭一さんの症状については、作中で医者の所見がちゃんと語られていますが、記憶障害や見当識障害という中核症状にくわえ、幻覚・妄想や徘徊といった周辺症状も発症しており、彼の見ている世界は、作中の「現在」であるところの昭和64年8月14日、ではありません。

まだ8歳であったころから始まり、友人である中村三兄弟、昭一さんの父母、機関士である中村家父と、その助手である”ウチテツ”さんこと内田鉄三さん(※鉄の字は難しい方の鉄なのですが、環境依存文字のためこちらで失礼します)、子供たちの中で誰よりも蒸気機関車に詳しく、熱烈に機関士になることを望んでいる、都会っ子の神谷久くんらとの交流が、昭一さんの見ている妄想として、舞台上にいきいきと描かれます。

しかし、実際に昭一さんがいるのは「蒸気機関車関連の跡地」であり(作中ではきちんと名称が出ています、失念)、立ち入り禁止区域であり、時間は深夜であり。

そこにいる昭一さんをなだめ、すかして、そこから連れ出して家族の元に返さなければならない駅員さんとのやりとりを経て、徐々に、徐々に、昭一さんの世界は戦争に突入していくのです。

 

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そこに、現在、徘徊して行方不明になっている昭一さんを探している、彼の娘三人の姿も描かれます。またこれもね、実に昭一さんと親子しているし、三人はすごく姉妹してる。そして、基本はコミカルで、ハイテンションなんだけれども、そのテンションのまま、認知症の父親を介護する苦痛についても見事に描いているのが、これまた素晴らしい。

押し付けあってるわけでもない、ちゃんと協力し合っているし、親に対する愛もある、けど、でも、さっきまでそこにいたのに、だって、ちょっとしか目を離していないのに、でも、いなくなってしまったし、それじゃあ、会社帰りで疲れていても探しに行かなきゃならないし、バイト中でも、遊び中でも呼び戻されないといけないし、でも、でも、

という爆発が、心配の中からウワッっと出てきてしまうこの生々しさ。かといってこれにすっごく時間を使ってるわけじゃないんですよ、すごく短時間で、この「性質の違う三姉妹の、介護への生々しい不安と不満」が描かれている、これがほんとうにすごいなあと思うわけです。

 

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今回、いつもよりライトの使い方が激しいなあと思いましたが、それがまた効果的でね……。あと、劇中には当時の流行歌なんかが、ラジオから流れてる的なていでかかったりもしているのですが、開始時や幕間なんかにかかる音楽は、それとはまったく違う、すごく上品でひんやりした曲で、そのギャップもなんだかイイんですよね……。

完全に感覚で物を言っていて申し訳なくはありますが、こう、昭和のことを語っているという時点で、あとライトの色だったりで、どうもあの……写真が褪色したときみたいな……オレンジがかったような……そういう印象が舞台上に対してすごくあって、だからこそ青い光や、強い真っ白な光を使われると、それだけで相当、自分はぎょっとしました。

 

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あとはねえ……一人の役者さんが小学校高学年くらいから、ほぼ成人するまでを一人で演じ切ります、これがいいんですよねえ……。正直アレですよ、そりゃ、ムリがないとは言いませんよ、そういうメタな笑いすら仕込んできますよ、でもいいんです、舞台だからこれ、成立するんです。わたしにとってはこれが成立するから舞台なんですウオーッ!! っていうね!!

 

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正直、ちょっと時系列がわかりづらく感じるところはあります。あえてそうしているんだろうなという風に思うところもあれば、ああこれをここに挟んだらちょっと……わかりづらくなりすぎるんじゃないかな……と思うところもあったり……。

あとは、思わせぶりにしていたいくつかの点で、未解決というかそのまま触れられることなく過ぎちゃったものもあったり……でもそんなのどうでもいいんです……自分はそう思っちゃったからいちおう書くけど……でもそんなところは本筋じゃないしな……。

 

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!!話しの筋の詳細ではないけれど、人によってはネタバレに感じるかもしれないので注意!!

昭一さんの見ている彼の記憶は、(舞台上の)現実世界に照らし合わせると幻覚でしかないわけですよね。だから一緒にいる駅員さん(杉本政志さん)には見えていない、それは当たり前といえばそうなのですが。

同時に、昭一さんの見ている彼の記憶からは、現在の昭一さんが見えていない、んですよね。演出上、現在の昭一さんと過去の昭一さんがかぶることはありますが(ここの描写が複数パターンあることで、若干の混乱はあるように思う)、その見えている過去に対して昭一さんがなにかしようとしても、別に何ができるわけじゃない。

いや、特に過去を変えようとするとかじゃないんですよ。でも、妄想上で起きていることに、現実の昭一さんは絡めない。絡んでいるように見えても、なにも、影響を与えない。

そのね、この……これがなんていう感覚なのか言い表せることができないんだけれど、ここでいきなり観客視点を出してしまえば、舞台の上の吉田鋼太郎さんの存在感は本当にすごいのに、でも彼の「昭和64年の昭一さん」としての一挙一動は、今ここに展開している彼の過去には影響を与えられない……それがね……個人的にはなんだかすごいゾッとした感じがある……。

 

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あとはもうほんと細かいところ……今回常に酔いどれてる役柄である大塚さんの目元に赤いメイクがされていて細かいなあと思ったりだとか、逆に大きいところでちょっとーここも好きなんだけどーって思ってるけどorあっここはちょっとつっこみたいって思ってるけど本筋に絡んできちゃうなとか、いろいろあるのだけれど、まだあと2回、当日券のチャンスがありますから、ご都合のあうかたは!! ぜひどうぞなのです!!