中盤まではとってもよかった『バチカンで逢いましょう』感想 ③

『バチカンで逢いましょう』感想の続きです~。ラスト!!

 

 

と、いうわけで、登場人物を「完全に善人でも悪人でもない、いいところも悪いところもあるただの人間」として描き、それでも物語を動かすために必要な動機付けや、視聴者の心理の誘導を巧みに行い、感情を極端にどちらかに傾かせることなく軽快に描いていったここまでのストーリーが……。

保守的で融通がきかないおばあちゃんが徐々に「自分」というものを見つけ、人生を取り戻していくさまが……この設定のおかげでぜんぶ「どうでもいいかな」っていう積み重ねに……。

ウワアーもったいない。

いやこれね、ここまでマルガレーテのことを見事に描いてきたなら、「イタリア人ミュージシャンとの一晩」なんて設定いらなかったと思うの。

せめてマリーはちゃんと夫婦の子供であってよかったし、それどころか「イタリア人ミュージシャンのライブに行って一晩だけ心を奪われてしまった」っていうことを悔いてる、ぐらいがっちがちに保守的でもよかったと思うの。

身体的なことはなにもなく、ただ一晩心を奪われたことを、配偶者の死亡により「結婚のきずな」が解消されたあともそれを悔いている……だったらクッソかわいいおばあちゃんだし、マリーだって認められると思うんだけど、なぜここでマリーのアイデンティティをぶっこわすようなことをぶちこんで来たか……。残り30分だよ……。

 

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と、いうわけで、開始から55分まではとっても面白かったです。

あとはたらたらっとその他の部分なんですが、ここまで「過保護過干渉」にしてきた親子三代の決裂・話し合い・和解が、料理をしながらの怒鳴り合いだけで済まされてしまったのが軽すぎること。結局母も子供も説得できず、「家にいればよかった」と言い捨てたマリーへ「とんでもない」以上の言葉がかからなかったこと、なんかも気になりました。

このシーンでマリーの言う「好きにして結構よ」は、決してマルガレーテやマルティナの意思を尊重したからではないと思うのですが、二人はまるでなにかの赦しを得たかのように喜びますし、その後にマリーが「わたしはどうしたらいいの」と言った時に今更のように驚くんですよね……。

開始当初のパワーバランスだったら、このシーンは「納得しようがしなかろうがマリーが折れた!!」で爽快なシーンにもなったでしょうが、この時点で一番傷ついてるのってむしろマリーじゃないですか。

「家にいればよかった(=来なければよかった)」に対して「とんでもない」はいいですよ、正しいですよ。でもそのあとに、マリーに対する心からの言葉がなにかしら必要だったはず。そこをスルーしてしまったのがなんだかな、と。

 

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あと、ここまででまったく触れませんでしたが、孫娘のマルティナは彼氏の浮気現場を見てしまい、別れを選ぶんですね。シナリオ上元の鞘に収まるんだろうなあと思って見ていたのですが、そうではなく、はっきりと男のことを拒絶したのが新鮮でした。

「一人の人間を愛するって勇気がいること」「あなたにはその勇気がない」「あなたという人間がわかった」「自分を大事にしたい」って、未練が残ってる状態で本人を目の前にして言えたもんじゃないですよ……マルティナ強いしいい女だ……。

まあ、ラストの近くでやっぱり復縁するだろうなっておもいっきり匂わせてますけどね。

 

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あとはやっぱり「いろいろ詰め込みすぎかな~」とか、最初ロレンツォとディノの関係性がわからず、ディノの母親の話が出てきた時点で「エッロレンツォひょっとして重婚になる?」って思ってしまったりとか(※こんなクソ勘違いはわたしだけかもしれないですが、初めて画面上でロレンツォとディノが会話するときに「叔父さん」って一言入れればいい話かと)、マリーが空港で薬を飲んでひっくり返ってるシーンの無駄なロマンスの兆候やマルティナの花嫁ダンスなんかの「これ必要だった?」的なシーンだったりいろいろと、気になるところもちらほらありました。

最初にもちょっと書いたけど、「そもそもなんでロレンツォがマルガレーテのことをかばったのか」ってのもありますしね……。

まあこのへんは、後から「感想を書こう」と思って出てきた部分なので、これらがすべて視聴中に気になってしまうかっていうのとはまた違うとは思います。

 

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さてなんだよこの文字数、になった感想ですが、ここでは触れていないロレンツォとのやりとりや、そのロレンツォの甥のレストランに関わっていくシーンなんかが「面白い55分」の中にありますので、そこまでだったらほんとにおすすめなんですよ、この映画。

実際見始めてしばらく、「ウワーすごいなシナリオ巧みだな、これは久しぶりに “自分の中で好きな映画” が入れ替わるかも……!!」ってくらい期待して見ていたんですから……さすが20世紀フォックス、GAGAとは違うぜって思ってたんですから……!!

そしてここまで書いてて最後にblog記事にするとき、原題を調べて『OMAMAMIA』だと知ったとたん「アッハイマンマ・ミーア! の流れなんですか了解」って思ったので、これを最初に知っていたらもうちょっと違った感想を得たかもしれません。ほんと最初に知りたかった。

 

 

 

 

 

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