トム・ハンクス主演 『ターミナル』 感想② いろいろと気になったところなど

 

 

ディクソンの警備主任である中途半端な悪役感もそこそこ気になるポイントですよね。シナリオにとって都合のいいところで、その場その場の悪役をやらせているから、障害物としても一貫性がないですし。

どうせならディクソンをもっとがっちり悪役にしてしまって、彼の周辺の警備員たちを味方に取り入れるか(そういう状態だとしても、ラストのあのコートをかけるシーンはちゃんと感動的に仕立てあげることは可能だと思います)、もしくは立場上どうにもしてやれないだけで根はいい人にしてしまうか、どっちかに寄せてしまってもよかったように思えます。

最初のクーデターを知らせるシーンから、英語がわからない相手に英語でまくしたてて理解していないのに放り出す、食事を取れていないのがわかっていてなんの保護もしない、しかも出世主義のディクソンだけでなく、彼の周辺にいる警備員も同様で、ディクソンよりは多少同情的ではあるかもしれないけれど、なにをしてやるわけでもない。ただ見張ってるだけ。

最初っからビクターに接することになる恰幅のよい警備員さんなんて、いかにもほだされてくれそうだから期待していたんですけど……。

 

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見ていれば、ビクターにむしろ不法入国してほしいっていうことなのはわかるんですけれど、その点のアピールがいまいちなので「なんで放置してんのこれ」って不審に思ってしまうという……。

だって母国がなくなるような状況に陥った旅行者よ? それをあんな状態で放置するの?

途中から、立場上困ったことになったとか昇進に響くからやっかいだとかそういうことではなく、個人的にビクターが嫌いだ、みたいになってしまっているのもなんかなあ。他の方のレビューにあってとても納得したんですが、「敵対していたはずのディクソンが、最後の最後でサインをしてくれた」っていうような感じにしてくれたら、すごく粋だったのにな。

 

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そしてこれもまた他の方のレビューにあってとっても納得したんですけれど、「そもそもなんの落ち度もないビクターが法律を守っているという前提なのに、悪役や障害が必要だったのか」っていう感想。

それを言うとこのお話の大半が否定されてしまうんですけれど、言われて見ればそもそもそうだよねえ。

権力のある人は手をつくしたくてもなにもできることがない、保護して閉じ込めておくわけにも行かない。そしてターミナルで生活をはじめたビクターと、そこの職員、それこそグプタみたいな人たちとぶつかったりなんだりして……というヒューマンドラマの方に注力してもよかったのかな、というふうにも思えてきます。

ちなみに、最後の最後でディクソンが去りゆくビクターをただ見送るシーン、急にいい人になって違和感……という感想をそこそこ目にしましたが、あれこそ「そうだもう不法入国したから俺の管轄外になった」って気がついただけじゃないですかね……。

でも不法入国を見逃してしまった国境警備局局長ってなにも言われないのかな……?

 

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あとは「ここまでひっぱって結局不法入国なの???」という……。最後は普通に入国させてあげればよかったんじゃないんですかね? せっかくアメリアが1日ビザを入手してくれたというのに。あれ結局無意味じゃないですか。

不法入国して戻ってきた状態だったら「家に帰る」じゃなくてそれ「強制送還」っていうのでは……そして不法滞在をしたということは今後はもうアメリカには来ることができないのでは……??? 最後の最後にそんな結末用意する必要があったかな???

全方位でハッピーエンドにしてくれって話じゃないんですよ。でも不法入国でいいなら今までチャンスがあったのに、それに乗らないで断っておいてなぜ??? シナリオ的に不法入国を拒否していたんだから、最後の最後は合法的に入国させてあげないと、用意された障害が意味のないものになってしまうのでは?

そういう点も含めてこの話、すわりが悪いんですよね。話の主軸に据えてたものが、最後の最後でぜ~んぶチャラにされちゃう。彼の約束だけは果たされますけど……。ウーン……ビクターの人生的にはそれがすべての発端で、だからそれが叶えばオッケーってなことなんでしょうけれど、映画を見ている人にしてみればそれって後から出てきた事実なんですよ。

なので、それまでひっぱってきた恋愛や不法入国はせずに待ち続けるというポリシーがどっかに言ってしまうのがちょっと納得がいきませんね。

 

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あとは、英語の習得が早すぎるのも気になりました。ガイドブックを母国語と英語で付け合わせるのと、テレビ画面のテロップを読み込むのとであんなに話せるようになるわけがない……。

いや、別にいいんですよそれでも。でもそんなに簡単に言語を習得してしまうなら、英語ができないっていう設定自体があまり意味がないじゃないかと思えてしまうんですよね。もちろん語学が中心の映画じゃないですから、そこにばっかり焦点を当ててもしょうがないのはわかっていますがあんまり腑に落ちないというか……。

で、そんな感じでいろいろと重要なことが総集編的にテンポよく詰め込まれているせいで、作中時間的に9ヶ月も経っているように見えないんですよね。

「これは20日間ぐらいの出来事ですよ~」って言われても納得してしまいそうなくらい、内容が薄いんですよ。これももったいないな、と思います。

 

 

 

 

 

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