映画『アーティスト』 雰囲気はバツグンによかったんですけどもさ ②

先日アップした「人類面ファスナー論」にもとづいて自分のことを考えますと、あきらかに「自分にとって腫れてて過敏になってるループ」には「映画で語られる家族の確執」と「物語で使われる男のプライド」あたりだよなあって自覚はあります、しずこ ( @cigarillolover ) です。

 

 

そもそもペピーがなんなの? という、身も蓋もない疑問。

あの控室のシーンといいなんといい、ジョージに惚れてるんでいいのよね? そういう前提だし、その後もそうなんだよね? 多分。

でも、そういうふうに……見えます?

惚れている相手がサイレントで活躍していたのを知っていて、なおかつ現在トーキーに出演していないのがわかっていて、サイレントをぼろくそに言ったり。

ジョージを自宅に招いて以降も、わざわざ「今日は大事な撮影があるから」と言ってから出掛けたり。

配慮が足りないというかなんというか、あの控室でジョージの抜け殻に包まれてあんなにうっとりしていた女の子とイメージが合致しないんですよね。キャラクターとして、地続きになっていないんです。

もちろん、あれだけ大出世してまったくなにも変わらないなんてことはないでしょうけれど、それにしたって、大女優になったペピーの中にあのエキストラの女の子が存在していなさすぎるんです。ウーム。

 

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大豪邸に招いてジョージのプライドを傷つけてしまうのはまあ仕方ない……のかな。でも、ジョージが養いきれなかった運転手を雇っているのは「なんなの? ストーカーさんなの? それともジョージを傷つけたくてわざとやってるの?」って、結構「?」に思ってしまいます。

ジョージが糊口をしのぐために手放したあれやこれやも、ペピーが全部買い取ってる必要がありました? それだけペピーの愛情がすごいってこと? それとも、ペピーが買い取らなければ誰も買わなかったってほど、そのときのジョージには魅力がなかったっていうこと?

あの流れ、ナチュラルに入ってきますか……? わたしひねくれすぎてる……?

 

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もしね、好きで好きで好きだから、よかれと思って……ってやっているにしても、やり方がどうなのって思うし、脚本としての見せ方もどうなの? って思うんです。

ここはペピーに対してというより、脚本に対して、になるんだけれど、運転手のクリフトンが地味ながらかなりキャラがたっていたんだから、たとえばクリフトンと手を組んで外から外からジョージを支えることとかできなかったのかしら!!

男が立ち直るときって、「誰かのお陰」で簡単には立ち直れないって思うんですね。しかも、自分より立場が下の人間のお陰で、っていうのは特にすんなりいかないでしょう。だからペピーがストレートに何をしたところで、ジョージにとっては「憐れみ」としか受け取れないんじゃないかしら。あの状況下なら特にね。

でも、ジョージにとってよい采配がおきて、ジョージがそれを選択するとなれば話は別。

だから、ペピーはクリフトンなり社長なりと結託して、ジョージにとってはまるで天の采配のようにチャンスを与えて、自力で立ち上がらせるべきだったんじゃないのかなーって……自分の納得できる展開としてはそっちなんですよ。それを、かつてジョージが住んでいたような豪邸で休ませるとか。ハハハ。ズタボロですやん。

 

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自分のジャケットに頬ずりしていたレベルのエキストラの女の子が、時代の変化にいち早くついていって大スターになり、サイレントをバカにし、トーキーで稼いだ金で大豪邸に住み、自分のかつての所有物を買いとって保存して自分のかつての運転手を雇って事務所を脅迫して台本を持ってきた。

これで立ち直ってたらジョージもおかしい。

これさ、ものすごい浪花節なこと言ってしまうけど、ペピーが「ジョージにとってもう一度必要になるだろうから」っていう意味でオークションを抑えていたんならすごいんだけどなあ。

それか、ペピーは質入れした燕尾服だけを持っていて、きちんと保管していたそれと一緒に台本を渡していたら、ジョージも一瞬考えることができたんじゃないかなあ、と。自分としてはそれくらいの方が好み。

本当はジョージにもう一度活躍して欲しいってキノグラフ社も思っていたら、めっちゃくちゃ好み。

 

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……というわけで、「栄華を極めた一人の男が挫折してもう一度立ち直るまで」っていう話のラインがあるわりには、その立ち直らせ方に筋が通ってないんですよ。だから、それで立ち直ってしまったジョージ自身も軽く見えてしまう。

もったいないんですよねえ……。

現状、ペピーがジョージを永遠に離れられなくするためにああやって囲い込んで恩を売ったっていうサイコスリラーです、って言われたほうが「そういうことか!!」って納得しそうないきおいなので、そのうち高評価の方の感想とかを探して少し読んでみようかと思います。

アーティストに関しては、とりあえず以上のところでございました。

 

 

 

 

 

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