映画『アーティスト』 雰囲気はバツグンによかったんですけどもさ ①

正直この映画の「リピーター割引」の意味がわかりませんでした、しずこ ( @cigarillolover ) です。

この日、たしかホームズとあわせて2本見に行ったんですけど、こっちを先に見てよかった……逆にしなくてよかった……ってしみじみ思いました。イヤ、悪い映画ってわけじゃないんですけども。

 

 

ほんっと、絵ぢからはすごかったんですよー。ジャン・デュジャルダンの色気も、ベレニス・ベジョの色気もタメをはってて、いぬもかわいくて、白黒の画面に生える濃淡で絵がつくってあって。

すっごい雰囲気はいいんですよ。自分くらいの年代だと、そもそもサイレント映画仕立てなのが新鮮だったりしますし。

でもこれ、じゃあサイレント世代の方とかが見たらどう思ったのかしらって。若い世代はものめずらしくて楽しんだかもしれないけど、そういった目先のこと以外でどこまで作りこまれていたかな、どこまで面白かったかな、って言ったらそうでもなかったんじゃない? っていうのが正直な感想です。

 

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とにかく気になってしまったのが2点。

ジョージとペピーが恋に落ちた的な前提でいろいろ話が進んでいくけれど、まずそこが描ききれていないので、どこかずっと座りが悪いこと。

それと、シナリオ的に、ペピーがジョージのプライドをつぶすほうつぶすほうに動いていること。

この2つがある状態で、最後はセリフがなくても演じられるダンス系の映画にでて万事オッケーハッピーです!! じゃないだろ!! って思うんですよねェ……。

 

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今日はひとつめに気になっている、「ジョージとペピーの関係の薄さ」についてなんですけど。

だいたい言ってしまえば、彼らが親密になる過程が薄いんですよ。

大スターに対して恋心があるっていうペピーの方はわかりますよ? けど、スター側のジョージがただのダンスシーンを何度もリテイクしてしまうほど、ペピーに一撃必殺の魅力的があったのか? って言われると、別にそうではないよなあって。

ペピー役のベレニス・ベジョはきれいでかわいくて色気があって最高ですよ? でもそれと、シナリオ上での魅力は別物でしょう。「ベレニス・ベジョだもんそりゃ大スターでも恋に落ちるわ」じゃなくて、あくまで作中の「スターに恋している女優志望の女の子・ペピー」とジョージの距離を縮めなきゃ。

 

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この映画内での描かれ方だと、大人の関係の始まりとしては物足りないしそもそもなにも始まってないんですよ。だいたいあの時点では、ジョージのほうが大スターだったんですから、ペピーは「たくさんいるファンの中のひとり」でしかないわけだ。それを飛び越えるなにかがおきてたか? と考えても、特になかったのでは。

映画公開日の頬にキス、だけでは足りないですよ。あれは、撮影所で再開した時にスターとエキストラが接近するためのきっかけにはなるかもしれませんけど、のちのちジョージが、やけどをしながらもこの日のダンスシーンのフィルムを抱きかかえているようなほどの、情熱的ななにか、っていうものには成り得てないんです。

奥さんの態度のひどさなんかを見ると、「倦怠期の妻とは違うフレッシュ・ビューティだから」という点などでこの恋愛開始に整合性をつけようとしているのかもしれないんですが、だとしても、一度共演とも言えないレベルで再会して、その後挨拶を交わしただけの相手であって、「LOVE」になる過程がわからない。

 

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ジョージにとって「その程度の事」が、手のひらやけどしても抱きしめ続けるほどのものだというほど、あの場面までに描ききれてたか? 全くそうは思えないんですよ。

舞台衣装ですら質に入れているような男が、最後に固執したのがあのダンスシーン? あのダンスシーンで二人のつながりを描いたつもりだった? いやあ……足りてないですよ……。もしそうだというなら、あのシーンを、ジョージがリテイクを繰り返したコミカルなシーンとして収めるのではなく、もっとしっとりと二人を撮っていなければならないと思います。

そのときのジョージの目から見たペピーの美しさ。そのペピーを見つめるジョージの表情の変化。服を脱がなくたって、そこで「男女」になったことをくっきり描いてもらわないと……。

 

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直前の、ジョージの服に袖を通すペピーのシーン。あそこで、あれだけ色気を出すことができているのですから、ここでもその色を描いてほしかったんです。そうしたら、控室に忍び込んだペピーの一方的だった恋心を、ジョージが受け止めたことがわかるじゃないですか。ここで成立するじゃないですか。

画面には描かれなかったとしても、「ああこのあと二人はどうにかなったんだな」ってわかるほどの色気。ジャン・デュジャルダンとベレニス・ベジョなら絶対できたじゃないの……なにそれ……見たい……(ソワァ)。

と、いうわけで。ジョージとペピーの関係が成立してるとは言い難い時点で、二人の明暗をくっきり分けて、マズイやり方でサポートのつもりでプライド傷つけまくって、タップダンスで丸く収まりました、じゃあねえんだよお!! って思うわけです……。

 

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次回は「ジョージのプライドをつぶすほうつぶすほう」について触れようと思っていますけど、これ書きながら「あれっひょっとしてしっとり濃厚なダンスシーンあった……?」って思い始めています。

あったとしたら、そこに注目できなかったという時点で完全にこっちの落ち度だな……。

 

 

 

 

 

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