『その女アレックス』 感想前のあらすじ

なんとなく気になって手にとった系の作品なので、普段このblogでは扱わない感じのミステリ作品です。淡々と書くあらすじとはいえ、そこそこえげつない作品なので、お嫌いな方は本エントリを避けてくださいね~。

 

 

見た目は美しいが、人とあまりかかわらずに現場を転々としている30歳の派遣看護師アレックスが何者かに暴力をもって拉致、監禁される。アレックスにとって犯人の男に心当たりはなかったが、その犯人は通り魔的な犯行でなく、間違いなく彼女を狙って実行にうつしていた。

アレックスは全裸で檻に入れられ、中途半端な姿勢で吊り下げられたまま何日も放置される。犯人の男は時折現れては、アレックスが衰弱していく様子を楽しんでいる。そしてアレックスは、顔の特徴から犯人がとある男の父親であることに気づく。

誘拐事件の初期捜査には、かつて誘拐された自分の妻(と妻が身ごもっていた8ヶ月の子供)を救い出せず惨殺されたカミーユ警部が参加することに。この警部は事件後、被害者の生死が判別していない犯罪捜査には関わらずにいたが、彼の上司が人出が足りないことを理由に無理やり承諾させる。

カミーユは短気で皮肉屋だが有能な人物で、かつての部下とも再会して捜査をすすめ、犯人にたどり着く。しかしその犯人は、アレックスの監禁先をあきらかにすることもなく、車で逃走し、警官の見ている前で自殺。

手がかりは男の持っていた携帯電話に収められていた写真だけだが、その写真をもとに救出に向かうと、すでにアレックスは自力で逃亡し、姿を消していた。

その後、自由を取り戻したアレックスは旅を続け、泊めてくれた家の女主人、ヒッチハイクさせてくれた運転手、ナンパが成功したと思ってホイホイふたりきりになった男らを撲り倒して硫酸を口に流し込んで殺す。

アレックス誘拐犯の息子も、彼女になったふりをして近づき、同じように殺して貯水槽の下に埋めていた。

カミーユ警部は捜査の過程でこの犯人の息子にたどり着き、硫酸を使うという特徴から過去の未解決事件もアレックスの犯行だと推測する。

一見無軌道に殺人をしていたように見えるアレックスだが、ある時点で自分の荷物をすべて破棄し、自身の兄と連絡をとったあと、ホテルの一室で薬を飲んで踊り回り棚に頭を強打して死亡する。

実はアレックスはこの兄により性的虐待を受け続けており、その加害者は兄だけでなく兄の交友関係にも及んでいた。さらには性器に硫酸を流し込まれて無残なことになっており、しかも適切な治療は施されていなかった。

これまでアレックスが殺してきた人たちは、その性的虐待に関わってきた人間たち。

カミーユ警部はアレックスの母親に連絡を取り、硫酸で溶けた性器周辺の中で尿道だけは塞がれずにいたことを、元看護師であるあなたの処置であろうと言い当てる。それは同時に、アレックスの母親は虐待の事実を知っていたが公にしなかったことへの指摘でもあった。

その後、カミーユ警部はアレックスの兄・ルイを被疑者として取り調べる。ルイは終始強気な態度を崩さなかったが、アレックスの死亡現場に彼の毛髪が落ちていたこと、アレックスが大量に摂取していた薬が入っているピルケースに彼の指紋がついていたこと、逆に室内の指紋は不自然に拭き取られていたことを指摘されると一転して喚き始めた。カミーユ警部は勾留延長を決め、わめくルイを尻目に手続きに入る。

しかし読者は、ルイが以前にアレックスのピルケースを奪い取った事実があることを早くから提示されており、その際になだめようとルイの頭に手を伸ばしたアレックスの指輪にルイの毛髪がひっかかって激高した事実を知っており、この時点で「アレックス死亡直前のTシャツを振り回したダンス」は「ルイに嫌疑をかけるための指紋の拭きとり」だと察する。

つまり、アレックスの「目的」とは、自分をレイプした関係者を自分と同じ目に合わせて全員殺害し、その後、兄に妹殺しの罪を押し付けて自分はその人生から退場することだった。

カミーユ警部がその意図に気付いているのかどうかは言及されないが、彼はラストシーンで「警察にとって重要なのは真実ではない、正義だ」という判事の言葉にことさら同意してみせるのだった。

 

 

 

 

 

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