SHORT PEACE 感想 『OP』~『九十九』

基本的に「アニメ監督」「制作サイド」というものをほとんど意識したことのないタイプなので、「お前の言っているそれは××のお家芸だ」というような知識不足については、感想の範囲内であれば許していただきたいなあと思いまっす!!

 

 

SHORT PEACE』は上映当時、映画館で見てまいりました。前評判とかは全然気にしていなくて、誰が出ているのか(声をあてているのか的な意味で)1名以外はまったく把握しないままに突撃。

OPは昭和的背景でのかくれんぼからはじまって、不思議の国のアリスよろしく異世界へ導かれ、予告で使われていた早着替えというか、あの点滅するようなイメージ変化になるわけですが、感情的なものをどこに置いたらいいのかわからずに、印象としては消化不良気味で気付いたら終わっていた感じでした。

よくわからないシチュエーションのなか、扉のなか(異世界的)なところに入った少女が怯えたかと思えば笑い出し早着替え、という流れなんで、落ち着かないんですよね。

かくれんぼの相手が消えたり自分が目を開けたら知らないところにいたりは驚きつつも受け入れているのだから、個人的には怯えさせなくてよかったんじゃないかなーと。不思議! 不思議! のまま笑う早着替えならそんなに違和感もないのですが、そこで世界観も少女の立ち位置も揺らいだ印象があって、「よくわからんが、絵はすごい」と「雰囲気とセンスは痛いほど伝わってくる」くらいしか思うことがなかったかなあ。

 

020

 

『九十九』はその名の通り「付喪神」の話しで、雨の山中で迷った男が祠で雨宿りをするのだけれど、付喪神化した捨てられた傘やしまいこまれた服にとじこめられて……的な展開。時代は江戸とかそういう感じ。

これを見たときに「ああやっぱり日本人、」と思ったんですよ。

このヘンな読点はわざとというか、そのジャストタイミングでの気持ち。

『九十九』だとたとえば誰もいない山中の祠で雨宿りするときに、まだなにも化けて出る前から「休ませてくれ」と空間に向って挨拶するのね、そういうのがすごく「日本人的」で、日本人なら無条件でわかるだろうけれど日本人じゃなきゃわからないだろうなあ、と。

ただ、この「日本人じゃなきゃわからないだろうなあ」がイコール「日本人ならわかるという前提の簡略化」になっているようにも思えて、その著しさが自分的には気になってしまったんですよね。

パンフレットを斜め読みして「短編は詞」という言葉が出ていたように、この説明不足感というか、印象的な部分だけを選出してイメージとイメージをつなぐ感じは「わざと」だし「そういう演出」なのだというのは自分でもわかるんですが。

わかるんですが、「違和感」というか「すわりのわるさ」も感じてしまって、ちょっと足りなすぎなくないのかなあと。

まあ、初見の印象だけで言ってますし、繰り返し見たらそこかしこに新たな発見があるのでしょうが、そのあたり「視聴者がまず日本人であること」への甘えというか……安心? がちょっと滲んでしまっているようにも思いました。

海外でも評価を受けている作品なことはわかっていますので、この件は単純に「印象」の問題でしかないんですけれどもネ。

 

020

 

ええと話を『九十九』に戻しまして。

デザインはすごく好き!! ヘンに細かい感想だけれど、一晩あけて大あくびをする男の動きの細やかさとかも好き。名前あるのかな~と思ってパンフレットを確認したのだけれどなかったです。

あと言われて気付いた系感想になってしまうけれど、「和柄」の美しさが単なるテクスチャとしてではなく、物語の中に生きているのがまたまぶしい(気付けなかったが、男の肌にまで利用されているそうな)。

ただあの腕の筋肉の書き込みはなんなんだろう、っていうのが妙に気になりました。あれが色トレスとかじゃなくて実線なおかげで画面がしまっているとも言えるんですが……。

実線じゃなければぎっしりとした和柄に男の肌が負けてしまうというか、薄まってしまうとは思うので、落ち着いて考えるとあの線すごく好きなんですけどね。細かすぎますかね。薄まるって言うのは存在感もそうだし、料理の味がぼやける的な感じでもうすまってしまったんじゃないかなーと、男の表面積がそれなりにあるので。うん。細かすぎますかね。まいっか。

反物やらなんやら、出てくる付喪神の量の多さなどに比べると、男が単品でドン! と出てきたときには色も書き込みも少なくなりますから、そういう意味ではあの実線1本ってすごく大きかったんじゃないかな~と勝手に思っています。

 

020

 

あまりよくない方に気になったのは、3Dの違和感と、若干の説教臭さです。

パンフレットの流し読みで知ったのですが、山中の背景は敢えて手書きっぽさを残したということなのだけれど、そこに3Dの「旅の男」がよっこらせ、と乗ってる感じなんですよね。祠に入れば気にならないんですが……。

説教臭さはやっぱり「もったいない」系。

繰り返されることになってしまうからちょっと、そこは気になったかなあ……。というのが初見でのわたしの途中までの印象でした。

自分はこう、「もったいないという言葉を免罪符に、物事の片を付けない」というスタンスが大っ嫌いなので、余計に「アッコレmottainai系かよ」って思って、すごく斜に構えて見ていたんですね。

なのですが、とあるポイントで、そんな斜に構えるような姿勢をズバッと取り払ってもらえたので、今はひょっとしたら『SHORT PEACE』の中で『九十九』が一番好きかもしれないです。

 

 

 

 

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Pin on PinterestShare on LinkedInFlattr the authorPrint this pageEmail this to someoneShare on Tumblr