お手軽万年筆のス〃メ ~インクの話~
以前万年筆に触れたときは主に「安価に買える本体」についてお話をいたしましたが、今回はインクの話題。あまり「詳しい」というほどではないのでザクザクっとまいります。
インクの種類は3種類
まず、万年筆のインクは原則「水性」インクです。
◆ 染料インク
文房具屋さんなどでカラフルに目を引くインクはほぼほぼ染料インクです。例外についてはこのあとに。水性なので当然水に弱く、耐光性も低いので、長期保存する文書には向きません。しかしやはり色の豊富さよ……!! 特にコンバーターで好きなインクを使える状態であれば、この魅力には抗いがたい!! いや抗う必要もないのですが。
あと、水性=水に弱いというのは悪いことばかりでもなく、たとえばペン先を乾燥させてしまった場合などのケアがとてもしやすいです。水洗いでペン先の詰まりも簡単に復帰します。
太字のペン先を利用しているときなど、色やインクによっては書き文字内にムラが現れ、味のある感じになります。
◆ 顔料インク
原理はいろいろ置いといて、水に流れない顔料が混ざっている「耐水性・耐光性に優れた黒インク」が顔料インクです。原則、黒しかインク色はありません。
……というのが今までの定番だったのですが!! なんとセーラーがカラーの顔料インクを販売開始しましたイヤッタアー!!
おおざっぱにいうと、一度乾燥すると水分内の顔料が定着する、といった流れなので、ペン先やコンバーター内で乾燥させてしまうと場合によっては復旧がかなわないこともあるようです。ちょっとここまでの状態にしたことないなあ。結構ラフに使っているけど今のところ大丈夫です。
いろんな意味で遊びのないインクで、クッキリとした線になりますので、染料インクのムラがお好きな人にとってはお好みでないということもあるようです。わたしはそのムラがいまいち好きではないので、自分で読み返すベーシックな文章については、原則顔料インクを使用しています。
◆ 古典インク(ブルーブラック)
水性インクの中に配合された鉄成分が酸化することで色が定着する、名前の通り濃い青色のインクです。乱暴にいうと「耐水性・耐光性に優れた青インク」で、公的文書などにも利用されてきました。
ですが、現在この鉄成分を入れる製法でブルーブラックを作っている会社はとても少なく、名前はブルーブラックでも単なる染料インクであるケースも増えてきました。今まで作ってたのにいつの間にか切り替わった会社もあるっぽいしね……。
なので、購入の際には注意と下調べが必要です。でもちょっとテンションアガるんですよね、ブルーブラック……万年筆使ってる!! って感じする……!! すごくする……!!
なお、古典インクという名称は正式なものではないようですが、単語として散見されるものですのでそのまま採用させていただきました。
以下、Amazonのプライム対象商品から少し掲載してみますね。当然、他にももっとたくさんのインクブランドはありますので、ちょっと大人な文房具屋さんをウロウロすると楽しいですよー!!
染料インク
プライム対象ではなかったので画像リンクは貼りませんでしたが、『Kobe INK 物語』も種類があって魅力的ですよ!! このシリーズは名前がイイ。名前買いしそうになる……!!
あとは、文房具屋さんが独自て作成しているカラーなどもたくさんあります。伊東屋さんですとか。メーカーも、メーカー通販限定のインクがあったり……。きりがないといえばきりがないので、いくらでも楽しめます。
混色可能な染料インク
ミックスフリーは調合キットも取り扱いがありました。あと、混色可能なインクに「プライベート・リザーブ」があります。
顔料インク・定番カラー
顔料インク・カラー
鉄イオンインク・ブルーブラック
あとはですね、色はBBではないのですが、ローラー&クライナーという会社の「スカビオサ」と「サリックス」というカラーも鉄成分の入ったインクとのことです。メーカーでは「没食子インク」と呼んでいるのかな? ネットで個人提供の筆記後カラーを拝見しましたが、まろやかなお色でした。欲しい。Amazonにはない。欲しい。いい色。
注意事項
インクは(それが許されているシリーズをのぞき)混色不可です。そのため同一コンバーターによる色替えはあまりおすすめできません。
インクの種類によっては、利用できるペン先に制限があります。購入前に注意書きを確認してください。おおざっぱに言うと、インクが酸化する系の古典インクは、ステンレスのペン先非推奨になり、原則金のペン先で使うものになります。非推奨のペン先で利用する場合は自己責任で。
メーカーは原則、自社のインク利用を推奨しています。
身も蓋もないまとめ
ウワアいろいろありすぎてワッケワッカラン、となる前に、お手頃な万年筆1本とコンバーターと気になるインクを買って、万年筆ライフを楽しめばいいんじゃないかな!!
わたしは万年筆再利用開始当時、「消えてしまうのをわかっていてそのインクを使う気にはなれないなあ……」という感情の方が強く、カラーを選ぶ楽しみよりも顔料インクの堅牢さを選択しました。
そうやって極黒を利用しているうちに、万年筆にどんどん慣れていき、自然に追加の本体を購入して染料インクにも手を出すようになりました。
実際のところ、万年筆やインクはトライアンドエラーで、買ってはみたけれど思ったより好みではない……だとか、消去法で選んだけどすっごいしっくりきてウヒョオオオとか、そういった感じで楽しんだり悔しがったりする「嗜好品」であって、ネットで見て決め打ちしたものが必ずしも正解か、というと決してそんなことはないんですよね。組み合わせによる相性なんかもありますし。
色が好きでも書き味が悪くて諦めるのか、他の万年筆で試したらどうか、そのあたりはもう「個人の価値観」の問題でしかありませんので、逆に言えば自分の手元のことについては自分の価値観で好き放題やっていい!! と思います。
なので、まず「気軽に手を出してみる」ということのほうがよろしいのではないかな~!! なにかの参考になりましたでしょうか!! なってない気がするな!! ウム!!